|
今年1年、近鉄バスにとっては厳しい1年でした。
そもそも、分社化により経営を改善することが目的であったのは事実ですが、このことが無理をした一因になっている可能性もあります。ですが、バス事業はどこも厳しいのには変わりが無く、そもそもバスのあり方自体が問われているようにも思います。
1.事故のこと
あまりこのことは触れないで来ましたが、4月28日早朝に磐越道で仙台特急線「フォレスト」が事故で横転、お客さんに死者が出る惨事となりました。
事故そのものは、運転士の無理な姿勢での運転が原因とされていますが、その中で運転士だけでなく、その他の色々な問題が吹き出したのもこの事件でした。会社の対応の拙さまであらわになり、JR西日本ともども叩かれ続けた・・・といえます。
事故車が製造15年の老朽車を使っていたことの問題もあります。近鉄自動車局時代には、高速車をこんなに長く使うことはなかった(観光バスは8年で廃車にしていたくらい)。このあたりもコスト面から長く使おうと考えたのでしょうが、やはり走行距離が伸びやすいことを考えると長くても10年が限度ではないでしょうか。某局の報道(その報道姿勢には若干疑問も感じましたが)では、インターフォンの故障も指摘されており、老朽化も決して否定はできないでしょう。
本来は、社長の進退にも関わる事態と見ていますが、今のところその動きは聞かれません。ただ、来年の決算期後の株主総会で退陣となるのが妥当と考えられます。
対策としては、安全運転の徹底と高速乗務員の適性をしっかり調べておくこと。
老朽化の進んでいる車両は廃車とし、早急に新車に置き換えること(皮肉なものですが、事故のあった前日に高速用の1台の新車が入っていたのです)。10年で切るとして1996年以前の車両の置き換えになりますので、該当は6台以上となります。予備車が不足している面もありますので、余裕を見る必要もあるでしょう。車両については、安全に関する装備の充実、たとえば車間距離警報装置の装備(これは既存含む全車に)、その他安全運転のための支援装置をお金を惜しむことなく入れるべきでしょう。そうまでしても遺族の理解が得られるかはわかりませんが、何もしなければもっと悪いというものです。
当然ですが、行先表示機のない車両が多く、これもサービスで欠けている面なので、新車、既存問わず全車にその装備をすべきではないでしょうか。
なお、高速バスでは、高速ツアーバスが台頭してきていますが、こちらの問題も避けて通れないところでしょうか。高速路線バスが脅かされています。安全対策を前面に押し出して、心入れ替えて頑張りますとやんないといけないというものです。
2.路線バスの縮小
再びという気もしますが、一般路線に明るい兆しが見えないのも事実です。各路線で減便や休止区間が増えるなど、縮小が見られました。利用者の減少はあるでしょうが、やはりお客さんを引き付ける対策が何らなされていないというのが実際のところでしょうか。PiTaPaは入れるのか入れないのかといったことから初め、利用者に魅力のあるサービスが行われていないように感じます。今のままでは漫然とバスを走らせてるだけという状態です。ノンステップバスも今では当たり前になりつつありますし、大型から小型まで何の脈略もなく同じ路線に入れるといういい加減さも見えています。来年は思い切ってノンステップのみ、車種も日野レインボー(10.5mと9m)だけにして、入れる車両の種類を少なくすれば、効率化も図れるのではないでしょうか。
3.運賃制度のこと
今年の12月に行われたエコバスキャンペーンで、他社が府内殆どで実施したのに近鉄バスだけ鳥飼営業所エリアだけというケチなことをして当BBSでも苦言を呈しました。
お客にとって、バスは安くない乗り物。お客さんにとって、近鉄バスほど運賃に工夫のない会社も珍しいものです。何か考えて欲しいものです。イベントなんかやらなくていい、むしろお客さんに利用してもらえる工夫をしてください。
4.社員を大切にしてる?かな
先日、過労死した運転士に労災を認める判断が下りました。過労死事件は、1990年代にも一度起きていて、その反省が活かされていないように感じます。新入社員の定着率にも影響しているようです。利益を出さないといけないのはどこも同じですが、経営陣が工夫もせずに社員の給料を上げずにモチベーションを下げてしまえば、ますます悪くなるだけではと思います。どうも親会社もそうですが、先の見えない経営をしているようにしか感じなくなって、私も来年の今ごろまでここが続いているんだろうかと心配になっております。
私も仕事が忙しく給料安い会社にいますので、何とかしてくれ!とは思ってるのですが。
もっとも、運輸業は貨物も旅客もヒドイ状態であるのは事実で、社会構造の問題なのかもしれません。
苦言ばかりになってしまいましたが、来年の近鉄バスの再起を祈念せずにはいられないものです。
|
|